学校の怪談|東京都
音楽室のベートーベン
伝承の範囲
東京都内の小中学校の音楽室に広く伝わる七不思議の一つ
- 記録の扱い
- 伝承・都市伝説として記録
- 参照情報
- 2件
- 最終確認
- 2026-07-09
音楽室の壁には決まって数人の作曲家の肖像画が並んでいる。その中でもベートーベンの一枚だけが、なぜか目を合わせてはいけない絵として扱われてきた。昼間はただの老人の肖像だが、日が落ちてから通りかかると、目がこちらを追ってくるという。
型はいくつかある。目だけがゆっくり動くという子もいれば、口元の角度が変わって見えたという子もいる。一番踏み込んだ話をする子は、絵の中の人物がキャンバスから抜け出して椅子に座っていた、というところまで話を進める。共通しているのは、目撃者がたいてい忘れ物を取りに戻った一人であり、しかも扉のガラス越しに遠くから見ただけだという点だ。確かめる勇気のある者は少ない。
この話が「学校の七不思議」という括りで定番化したのは一九八〇年代後半から九〇年代にかけてで、ベートーベン以外にもバッハやモーツァルトの肖像が主役を務める学校もあった。誰の肖像かは学校によって違うのに、話の骨格だけは驚くほど揃っている。
肖像画とは、顔だけがそこにあって体温のない存在だ。それを毎日見上げて歌う教科がある限り、この手の話はきっと消えない。