百物語

学校の怪談|大阪府

歩く二宮金次郎

伝承の範囲

大阪府内の小学校校庭。二宮金次郎の石像が設置されている学校に伝わる

記録の扱い
伝承・都市伝説として記録
参照情報
2
最終確認
2026-07-09

薪を背負い、歩きながら本を読む少年の石像。二宮金次郎像は、勤勉の象徴として明治以降多くの小学校の校庭に置かれてきた。一九八〇年代から、大阪の小学校でもこの像にまつわる怪談が語られている。

話は単純だ。夜になると石像が歩き出す。それだけの噂に過ぎないのに、放課後の校庭で像の前を通るのを避ける児童が何人もいたという記録が複数の学校に残っている。翌朝、像の位置がわずかにずれていたという話も各地で聞かれた。誰かのいたずらなのか、それとも本当に動いたのか、結論の出ないまま子どもたちの間で議論が続いた。

大阪市内のある学校では、像の周囲の地面に水の跡が残っていたという話もあった。夜露か散水設備のどちらかで説明はつきそうなものだが、当時の児童には「像が動き回った跡」として受け取られた。

近年は老朽化や教育観の変化から、像そのものを撤去する学校が増えている。像がなくなった校庭では、かつてそこにあったという記憶だけが、教員の口を通じて子どもたちに引き継がれている。