ネット怪談|京都府
きさらぎ駅——帰れない駅のネット怪談
伝承の範囲
実在しない駅名。2004年の投稿では近畿地方の電車(路線名未明)が舞台とされた。その後全国各地で目撃情報が派生
- 記録の扱い
- 伝承・都市伝説として記録
- 参照情報
- 2件
- 最終確認
- 2026-07-09
都市伝説の多くは「いつ生まれたか」がわからない。しかし「きさらぎ駅」は違う。2004年1月8日、2ちゃんねるに「はすみ」と名乗る人物が投稿した時刻まで記録が残っている、珍しいタイプの現代伝説だ。
電車に乗っていたはずが20分以上も停まらず走り続け、見知らぬ「きさらぎ駅」に着いた。乗客は自分ひとり。ホームに降りても人の気配はなく、出口もわからない——リアルタイムで更新される書き込みを、読者は一夜がかりで追いかけた。投稿の内容から、近畿地方のどこかの路線が舞台だと推測され、京都・大阪・兵庫のどの線かをめぐる読者間の推理合戦がスレッドを盛り上げた。
その後、各地で「きさらぎ駅に着いた」という模倣投稿が相次ぎ、路線名だけを差し替えた同種の体験談が全国に広がっていった。当時の2ちゃんねるには、フィクションと見抜いても指摘せず投稿者の話を引き出すという独特の作法があり、読者の参加そのものが物語を磨き上げていったのだと、後年あるジャーナリストが分析している。
2024年には遠州鉄道が実際に「きさらぎ駅」という名の駅を設けるまでになった。近畿の一投稿から始まった話が全国区の駅名にまでなる——この距離感こそが、ネット怪談の伝播力を物語っている。