都市伝説|東京都・港区
青山のタクシー幽霊
伝承の範囲
青山霊園周辺。昭和初期から週刊誌等で繰り返し取り上げられてきた定番の怪談
- 記録の扱い
- 伝承・都市伝説として記録
- 参照情報
- 2件
- 最終確認
- 2026-07-09
行き先を告げたきり黙り込んだ乗客が、着いた家の玄関で「お金を取ってくる」と言ったまま戻らない。しびれを切らした運転手が呼び鈴を押すと、出てきた家人から「それは亡くなった者です」と告げられる——青山で語られてきたタクシー幽霊譚の、よくある結末の一つだ。
昭和の初め、都心にタクシーが普及し始めた頃からこの手の話は繰り返されてきた。舞台に選ばれることが多いのが青山霊園の周辺で、都心のただ中に霊園があるという場所柄が、話の座りを良くしてきたのだろう。
もう一つの型では、霊園近くで乗せた女性客が黙ったまま目的地に着き、バックミラー越しに確認すると座席には誰もおらず、シートだけが濡れて残っている。週刊誌は夏になるとこの手の話を「体験した運転手の証言」として繰り返し特集し、体験後に運転手が仕事を辞めた、車が故障した、といった尾ひれも付け加えられてきた。証言者の多くは名前を伏せており、裏の取れた例は見当たらないが、話の型はどの時代もほとんど揺らいでいない。
人力車の頃から姿を変えて続く乗り物の怪異譚には、密室・見知らぬ他人との一対一・夜という条件がそろっている。青山という場所が繰り返し名指しされてきたのは、その条件に霊園という舞台装置が重なった結果だろう。理由を一つに決めつけるのも、この手の話には野暮というものだ。