都市伝説|東京都
口裂け女の東京流布
伝承の範囲
1979年春〜夏、東京都内でも小中学校周辺を中心に噂が広まった
- 記録の扱い
- 伝承・都市伝説として記録
- 参照情報
- 2件
- 最終確認
- 2026-07-09
「私、きれい?」——マスクの女にそう聞かれたら、もう逃げ場はない。1979年の春から夏にかけて、この短い問答は東京の小中学校の周辺にまで広がっていた。
火元とされるのは岐阜県で、1979年1月に地方紙が最初に取り上げた。数ヶ月のうちに東京・神奈川・埼玉でも同様の目撃が語られ、集団下校に切り替える学区まで現れた。下校時刻が近づくと、教員が校門で保護者に一言添えて回るような空気があったという。
広まり方には東京らしい特徴もあった。子ども同士の口伝えだけでなく、週刊誌やワイドショーが後追いすることで火が大きくなった面がある。「会った」という声はいくつも出たが、確かめられた例は一つもなく、当局が調べても実体には行き着かなかった。それでも報道が出るたびに話は息を吹き返し、1979年の春はそういう循環の中にあった。
「ポマードと三回唱える」「飴を渡す」「二メートル離れれば大丈夫」——こうした対処法は、この時期の東京周辺で子どもたちの間から生まれたとされる。怖いものを怖いままにせず、手順にして飼い慣らそうとする工夫だった。
夏休みに入ると、潮が引くように噂は消えた。学校という井戸端が閉じれば、口裂け女もまた行き場を失う。あの夏の伝播が今の情報環境で起きたら何がどう変わるのか、答えはまだ出ていない。