都市伝説|大阪府・大阪市
千日デパート火災の記憶
伝承の範囲
千日前(現・ビックカメラなんば店周辺)。ミナミの繁華街として今日も多くの人が行き交う
- 記録の扱い
- 伝承・都市伝説として記録
- 参照情報
- 2件
- 最終確認
- 2026-07-09
深夜の巡回中、火災のあった階のあたりで呼び鈴が鳴った。誰もいないのに。——千日前の新しいビルで働いていた従業員たちが、口々にそう語り始めたのは、火事から十年余りが過ぎた頃だった。
1972年5月13日の深夜、大阪市中央区千日前の商業ビルで火災が起きた。7階建ての建物はまたたく間に炎に包まれ、118名が命を落とした。逃げ場を失った人々が上層階の窓から出ようとしていたことは、当時の新聞にも詳しく記録されている。
跡地に新しい商業施設が建ってからしばらくして、深夜勤務の従業員の間で交わされるようになったのが冒頭の話だ。エレベーターが指定していない階で止まる、誰もいない場所で物音がする。証明のしようがない話ばかりだが、地元では今もこの手の話が交わされている。
千日前という地名は、江戸時代に整備された「千日墓地」に由来するとされる。処刑場と火葬場も隣接し、長らく死者を送る土地として使われてきた歴史がある。歓楽街として発展した今も、この一帯の来歴を知る人々の間では「死者に近い場所」という認識が残っており、火災の犠牲者を悼む法要は地域の有志の手で続けられている。