百物語

トンネル・山・廃墟|北海道・札幌市

旧小別沢トンネルの封鎖

伝承の範囲

札幌市西区小別沢。1927年頃に地域住民が手掘りで開削したトンネル。現在は封鎖

記録の扱い
伝承・都市伝説として記録
参照情報
2
最終確認
2026-07-09

札幌市西区の小別沢に、かつて手掘りのトンネルがあった。大正末期から昭和初期にかけて、地域の住民が費用を出し合い、約二年かけて掘り進めたものだという。山を挟んだ西区と中央区の行き来を楽にするための、いわば生活道路だった。

老朽化のため封鎖されてからは、若者のあいだで肝試しの対象として噂されるようになる。工事中に強制労働で命を落とした者がいる、遺体が壁に埋め込まれているという噂が広まり、「平和の滝」「西岡水源地」と並んで「札幌三大心霊スポット」と呼ばれ始めたのも1990年代のこの頃だ。心霊写真が撮れた、カメラが誤作動したという話が次々と書き込まれ、ネット上でも広まっていった。

もっとも、地元の調査ではこうした噂の根拠は確認されていない。住民の互助で掘られたトンネルであり、強制労働の記録はないというのが実際のところだ。それでも暗い坑道と封鎖という状況が生む閉塞感が、根拠のない話を引き寄せ続けてきた。

現在は完全に封鎖され、内部に入ることはできない。それでも定期的に若者グループが近づこうとし、地元住民との間でトラブルになることがあると報告されている。入口付近は草木に覆われ始めており、封鎖の理由が老朽化である以上、今後開放される見込みはないという。住民の手で掘られた生活の道が、いつの間にか怪談の舞台に変わってしまった経緯そのものが、この場所の奇妙さを物語っている。